—— 以前より『仮面ライダー』【2】がお好きだと話されていますが、あえて挙げるとしたらどの作品がお好きですか?
鈴木:見始めたのが『仮面ライダー 電王』【3】からでした。『仮面ライダー』にハマるきっかけになった思い入れの深い作品ですね。あとは『オーズ』【4】、最近だと『ゼロワン』【5】。それから今回出演した『セイバー』【6】。作品自体も、終盤にかけてすごく面白くなっていきました。一つに決めるのは、なかなか難しいですね(笑)
—— 『仮面ライダー 電王』の、どういうところがお好きですか?
鈴木:僕が3歳頃の作品ですが、やはり「わかりやすい面白さ」ですかね。「変身」というロマンもそうですし、戦っているところもカッコイイ。そして、出て来るキャラクターの一人ひとりが面白いところが、ワクワクさせるポイントだったと思います。
—— 『仮面ライダー』という作品の魅力を、どのように感じていらっしゃいますか?
鈴木:好きになる入口がたくさんあるところですね。人によって違うと思いますけど、僕はバイクにすごく興味をもっていたので。モチーフだったり、ベルトだったり、俳優さんだったり、ヒロインだったり。『リバイス』【7】だと声優さんも話題ですね。好みに刺さるポイントがたくさんあって、多くの人に愛されているのだと思います。
—— 映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』で、石ノ森章太郎さんを演じることを、どのように感じましたか?
鈴木:台本が出来たのが撮影に入るギリギリで、はじめはどれくらい出演できるのか分からなかったんです。ただ、人間キャラが少なかったので、「これはけっこう出番があるんじゃないか?」って期待しました(笑)。
石ノ森章太郎先生を演じることには、好きだからこそわかる偉大さがあって、しかも、作品の中に出て来ちゃうっていうのは、僕自身ファンとしてもビックリしましたが、演じるのが楽しみでもありました。
—— 石ノ森章太郎先生を演じるにあたり、どんな準備をされたのでしょう?
鈴木:衣装合わせの時に、石ノ森先生の作品をお借りして読みました。『青いマン華(マンガ)鏡』【8】には、映画の内容に近いシーンがあったりして参考になりました。それから、石ノ森先生は右利きですが、僕は左利きなんです。絵を描くシーンもあるので、変に見えないように右手で鉛筆を持つ練習もしたり。撮影前には、石ノ森先生のお墓にも参らせていただきました。
後は、『仮面ライダー』の映画を観なおしました。
—— その中で印象に残った作品はありますか?
鈴木:田﨑竜太監督【9】の『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』【10】とか、『仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション』【11】などを観ました。
昔の、『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生!』【12】なども、ワクワクを思いだしながら観て、「今度は作る方として演じなければ」と。
『セイバー+ゼンカイジャー』の作中で、石ノ森先生が「僕が描きたいのはこんなのじゃない」と言っているところもあるので、描きたいと思えるシーンも探しながら観ましたね。
—— 台本を読んで、どんなふうに演じようと思いましたか?
鈴木:僕自身は(役を)ガチガチに作りこんでいくタイプではないのですが、今回に関しては僕に出来ることはしっかりと演じようと、一番に考えました。
しいて言うなら、ペンを剣のように使って出て来るところは、キメてやろうと思っていました(笑)。
—— 撮影の前に、田﨑監督からアドバイスはありましたか?
鈴木:藤岡弘、さん【13】の1号・本郷猛【14】とのシーンは、「親子のように演じて欲しい」と言われて、それはすごく意識しました。
あとはやはり「お姉ちゃん」との関係性も、田﨑監督に言われましたし、僕自身も苦労した点でもあります。
—— 撮影が始まり、『仮面ライダー』の世界に入って、どのように感じられたのでしょう?
鈴木:毎日すごく楽しくて、なんでこの場に自分がいるのか不思議な感覚でした。「頑張って来て良かったな」って思っていました。
—— 目の前で活躍するヒーローたちを見て、いかがでしたか?
鈴木:休憩中もずっと見させてもらって、「すげぇ!」って(笑)。大集合のシーンなんか、なかなか見られませんし、ありがたくて嬉しかったです。
—— 仮面ライダーのレジェンド・藤岡弘、さんとの共演もありました
鈴木:藤岡さんとは、僕が小学生の頃から何度か共演させていただいて、「福ちゃん」って呼んでくださるくらいかわいがってもらっています。そんな藤岡さんと、まさか『仮面ライダー』の映画で、しかも「本郷猛」としてご一緒できるなんて思ってもいなかったし、レジェンドだなってすごく感じました。「若い頃の石ノ森先生と、雰囲気がちょっと似ているね」って言ってくださったのも、すごく嬉しかったです。
—— 田﨑監督も、本郷猛とのシーンが印象に残っているそうで、コメントをいただきました
《田﨑竜太監督からのコメント》
福くんとコミュニケーションをとりながら撮ったシーンで印象に残っているのはアスモデウスを撃退した後の最後のシーン。
変身を解いた1号ライダーが本郷猛の姿となり、福くん演じるヤング石ノ森章太郎に「先生!」と呼びかけるところから始まるシーンです。
ご覧になった方の中には自然すぎて気がつかない方もいらっしゃるかもしれませんがあのシーンにおいては10代の福くんが産みの親、70代の藤岡弘、さんが子供…という関係性です。
実際はその年齢差のお二人がそう見えるためには並大抵の技量ではうまく行きません。
お二人の努力、そして技量がピッタリ合わさったおかげでそう見えるのです。
その部分を打合せしてうまくハマったお芝居となったのを撮れたのは嬉しかったですね。
鈴木:監督から「撮れて良かった」と言っていただけるのは、すごく嬉しいですね。
僕自身、俳優をやっていく上で一番嬉しい言葉です。
あのシーンは、先に監督からアドバイスをいただけて、自分としても明確に演じられました。
フィクション中のフィクションなんです。
実際にいた「石ノ森章太郎」先生を別人の僕が演じ、藤岡弘、さんが、ご本人が演じていた「本郷猛」という架空の人物を演じる。「君は、本郷猛だね」という重要な場面で、年齢は逆転し、描き手と作られたキャラクターという関係性を、親子のように見せられたというのは本当に良かったです。藤岡さんの思いを受けることで、僕もしっかり演じることができたシーンだと思います。
藤岡さんは、石ノ森先生への想いもある方ですし、撮影中に涙が流れそうになっていたこともありました。それを見て、藤岡さんの『仮面ライダー』に対する愛を強く感じました。
すごく勉強になったし、今後やれることが無いようなシーンでした。石ノ森章太郎先生を演じられたことは、今後も大切にしていきたいです。
—— ほかにも印象に残ったシーンはありますか?
鈴木:初日が大集合のシーンだったんです。「やっと僕が描きたいヒーローが描けた」というところが最初でした。
映像を観た時に感動したのは、1号と2号の絵から2人が出て来るところ。その間に僕が立っているということに、グっときましたね。
—— 田﨑監督と仕事ができたことについてはいかがですか?
鈴木:田﨑監督は、僕が『仮面ライダー』を好きになったきっかけをくれた方といっても過言ではないですね。ほかにも、白倉伸一郎プロデューサー【15】、武部直美プロデューサー【16】、それからシリーズに長く携わっていらっしゃるスタッフさん。そんな方々とご一緒できて、すごく嬉しかったです。
それから、撮影中の田﨑監督と他の俳優さんとのやりとりでしたが、この作品を良くするためだけでなく、その俳優さんが他の作品でも活躍できるようにアドバイスされているのを見て、「こういう監督さんが現場にいるからこそ、『仮面ライダー』出身の俳優さんがたくさん活躍されているんだな」と感じました。
—— 完成した映画を、どのようにご覧になられましたか?
鈴木:試写会の他に、劇場にも何度か観に行ったのですが、ちっちゃい子たちが観に来てくれているのを見ると、僕みたいに『仮面ライダー』を好きでいてくれて、僕が演じた石ノ森章太郎先生という役が心に残ってくれると良いなと思いました。
僕のきょうだいの友達が映画を観て、「章太郎の真似をしたい。ノートが欲しい」と言っていたと聞いたのも、嬉しかったですね。
—— 福さんが観てきて、そして出演した作品を、さらに下の子どもたちが受け止めるというのは素敵ですね
鈴木:僕自身、俳優を続けながら「仮面ライダーになりたい」という発言をしてきた人間ですから、一生のうちどこかで、仮面ライダーとして1年間メインでやり遂げたいって思いがあります。
それをちっちゃい子にも観てほしいし、『マルモのおきて』【17】を観てくれていた世代にも注目してほしいです。
『仮面ライダー』という作品は、本当に素晴らしいので、皆に見てほしいですね。
—— 今回はここまでとなります。ありがとうございました
鈴木:映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』は、元気が出て、勇気がもらえる作品になっています。
DVDやBlu-ray、東映特撮ファンクラブなどで、ぜひ観てほしいです。
今回のお話しを聞いて、映像作品の良さを感じていただけたらなと思います。ありがとうございました。