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ねりま映像人インタビュー

第28回 古川登志夫さん 後編

第28回 古川登志夫さん 後編

2024.03.11

こちらのコンテンツは、是非音声版でお楽しみください

練馬にゆかりの映像人の皆様にお話を伺い、練馬と映像文化の関わりを紹介する「ねりま映像人インタビュー」のダイジェストテキストです。
音声版は更に内容が充実しています。是非お聴きください。
ゲストは前回に引き続き、声優の古川登志夫さん。
今回は、古川さんと練馬区との関わりや、練馬区と縁の深い原作者の作品について伺います。

—— 古川さんは練馬区とかなり縁が深いとお伺いしました。まず高校が、練馬区貫井の都立第四商業高等学校【1】。そこで、演劇に出会われたそうですね。

古川:演劇部に何気なく入ったんですけれども、演劇部の課外活動のように、皆でお芝居を見に行くわけです。そのときに舞台を見て、「舞台劇、舞台俳優って面白そうだな」と思い始めたきっかけですね。

—— その演劇に魅せられ、日本大学芸術学部【2】の演劇学科に進学されました。「殺陣同志会【3】」というサークルに入られたそうですね。

古川:キャンパスの中で殺陣同志会の人たちが立ち回りを稽古していて、それがかっこいいんですよ。でも、入会したら大変で、もう地獄のような特訓がありましたね。
大学にいる間はずっと、とにかく勉強よりも熱心にやりました。殺陣を自分でつけることができるから、みんな本格的に玄人的な感じでやっていましたね。刀、槍、薙刀も小太刀も鎖鎌まで、何でも一応一通りあるんです。芝居もやりますし、殺陣だけの構成殺陣って言って構成をしてやる場合もありました。

—— 大学を中退されて、「劇団現代」に入られます。

古川:(日藝の)卒業公演という時期に、舞台稽古の日だったと思うんですが、学校に行ってみたらキャンパスが机だとか有刺鉄線とかのバリケードでロックアウトされていて全然入れなくなっていたんです。学園紛争が激しすぎたんですよ。半年間ぐらい揉めに揉めて、「卒業証書を取得するためには、紛争が収束した後、半年通わなければならない」と。結局4年半通わなきゃならないということになったんです。ただ「4年間の学費と生活費は面倒見るけど、そこから先は自分で食っていけ」という厳しい親だったので、とにかく働かなきゃならない。だったらもう「劇団に入ってしまおう」とそのまま。中田浩二さん【4】が青年座を抜けてから作られた「劇団現代」の第1期生の募集に応募したんです。今は「櫂」という劇団になっています。

—— ここからは古川さんの数多くの出演作の中から、練馬区にゆかりの深い漫画家さんが原作の作品についてうかがいます。

『PLUTO/プルートゥ』【5】

NETFLIXで配信中。《手塚治虫さん【6】『鉄腕アトム』【7】の代表的なエピソード「地上最大のロボット」をベースに、浦沢直樹さん【8】によってリブートされた漫画が原作。古川さんは、お茶の水博士を演じる》

—— お茶の水博士役のオファーを、どのように感じられたのでしょうか?

古川:一応、オーディションは受けたのですが、丸山正雄さん【9】は最初から予定してくださったそうです。「この歳で老け役をやらなかったら、老け役をやらずに死ぬぞ」みたいに感じていたので、ちょっと嬉しかったですね。
お茶の水博士は有名なキャラだし、それ自体は嬉しいのだけど、前に演じている人(勝田久さん【10】)がいるし、どうなのかな?みたいなことも思ったのですが、全然ビジュアルが違ったので安心しました。
丸山正雄さんは大プロデューサーで、本当に若い頃からお世話になっていて、いつも声をかけてくださるんです。恩人ですね。
丸山さんからは、「なにか優しさのようなものを、とにかく出してくれれば」というようなことを最初に言われました。

—— 収録中のことで特に印象的に覚えていることなどはありますか?

古川:犬のロボットを修理するシーンがあるのですが、音響監督の三間(雅文)さん【11】が(ブースの)中に入ってこられて、「古川さんはこの犬のことをロボットだと思っていませんか?」とおっしゃるんです。「これを生きた犬、古川さんが飼ってらっしゃるワンちゃんだと思って演じてください」と、レクチャーを受けたんです。この時はちょっとびっくりしましたね。そんな自明のことを今更言われてしまっている自分に驚いたんです。なるほどと思って、泣いてしまうのは駄目だから、泣くのをこらえている芝居を入れようと思い、嗚咽のようなものをひゅっと入れたらOKが出たんです。
「この歳になってこんな根源的なダメ出しをされるのか」と非常に衝撃的でした。悔しかったし恥ずかしかったです。でも、「すごい音響監督さんに出会ったな。これで良い現場になるだろう」そういう感じがしました。

『機動警察パトレイバー』【12】

《練馬区で活動されている漫画家・ゆうきまさみさん【13】が原作者集団・ヘッドギア【14】の1人で、漫画版も手掛ける。OVA一作目が1988年に発売されて以降、劇場版、TVシリーズなどを展開。現在も新作が作られている息の長い作品》

—— この作品の主人公・篠原遊馬を古川さんが演じられています。古川さんにとってパトレイバーはどんな存在でしょうか?

古川:大好きな作品です。とにかく若き才能集団・ヘッドギアなくしては生まれなかったであろうことは間違いないでしょう。『ガンダム』【15】もそうですけれども、アニメが「テレビまんが」というような言われ方でスタートした『アトム』など対象として子供が見るものという時代から、大人も含めた幅広いジェネレーションの鑑賞に耐えうるようなコンテンツの時代へと突入していく先駆けになったような作品の一つかなと思います。

—— 特車二課第2小隊【16】の面々、冨永みーなさん【17】の泉野明をはじめ、演じている皆さんのチーム感がとても楽しそうでした。どんな現場だったのでしょうか。

古川:特車二課の日常、事件が起きていないのんびりしたときですね、あの日常を再現したような現場でした。そのまんまですよ。個性的な声優揃いでしたしね。とにかく楽しい収録でした。あのキャラクターがみんな揃っているという印象で面白かったですね。スタジオ収録は楽しかったです。 とにかく個性が強い、演技の質も全く違うバラバラな人、全然違う演技論の方たちが集まっている、ごった煮のような感じでした。だから勉強にもなりましたね。なるべく自分でやれ!というような感じで、「篠原遊馬というのは古川遊馬か篠原登志夫か、自分とない交ぜにして自分自身が喋ってるような感じで良い」というような風潮でした。「なるべくアニメのセリフのようでなく、普通に自然に喋ろう」というような、暗黙の了解みたいなものがありました。

—— 先ほど「好きな作品です」とおっしゃられましたが、パトレイバーのどんなとこがお好きですか?

古川:例えば作品全体に繋がる世界観としては、言葉の編み方、セリフの編み方が面白い。非常に純文学的な文脈だったり、それと全く対極にある、もっと一般的な軽い表現が綯い交ぜになって、それが惜しげもなくどんどんどんどん繰り出されてくる。僕はその言葉遊びのようなところが面白かったですね。伊藤(和典)さん【18】の脚本も本当に秀逸で、本編の映画【19】は特にそうでした。

『うる星やつら』【20】

高橋留美子【21】さんによる同名漫画が原作。1981年からTVシリーズが放送され空前の大ヒット。シリーズは4年半続き、その後も劇場版、OVAと制作され続けた。2023年からは再アニメ化もされている》

—— 古川さんは、主人公・諸星あたる役を演じていますが、演じる側として当時の大ヒットをどのように感じたのでしょうか?

古川:手応えというのか、ファンレターがものすごい数来るようになったのと、スタジオの出待ち入り待ちの女子高生の皆さんの数がものすごくて、これは何だ?とびっくりしました。スタジオからスタジオに移動するときは僕らは電車で移動していましたし、ファンの子たちも一緒に電車に乗り込んでくるんですよ。それで話をしながらスタジオに行ったりとか、終わったら台本をその子たちにあげちゃったりとか。今思うとそれとんでもないですけど、そんな時代でした。だからすごい反響というのは、そういった風景を見ていて実感しましたね。

—— 高橋留美子先生のお名前とともに大きく育った作品である一方で、押井守監督【22】のお名前もこの作品から急激にクローズアップされました。特に劇場版『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』【23】で、内外に印象づけられたと思いますが、押井守監督の演出にどんな印象をお持ちでしょうか?

古川:エンターテインメントとしてのアニメという媒体ということを、押井監督はいつも探っていてよく知り尽くしていたし、そのアニメの面白さみたいなものを見事に開花させた監督という印象がありますね。新しさみたいなのをいつも追いかけている感じだったと思います。独特の世界観ですよね。『ビューティフル・ドリーマー』は特にそうですけれども、誰にでもある原点、高校時代の例えば学園祭前夜のような話ですよね。そういうもので多くの人に共感を受けたんじゃないでしょうか。

—— 高橋先生からいただいたお言葉などで、覚えてらっしゃることってありますか?

古川:これはもう何度も話していますが、『うる星やつら』が始まったときに、「諸星あたるの声ぐらい合ってない声はない。あんなものは降ろせ」みたいな話や手紙がたくさんいっぱい来たんです。そんな感じだったときに、あるアニメ雑誌で留美子先生が「『うる星やつら』の声優陣はみんなピタッと合っている。とりわけ諸星あたるの古川さんが良いですよ」みたいなことを書いてくださったんです。そうしたら、そういう手紙が来なくなって。それがなかったら実際に降ろされていた可能性もある、ちょっと覚悟していたような時だったので、そういう留美子先生の優しさみたいなものが染みましたね。

—— 現在放送中の再アニメ化では、諸星あたるの父役を担当されていますが、大事にしていること、意識していることはありますか?

古川:(オリジナル版であたるの父を演じた)緒方賢一さん【24】のあの芝居が僕は大好きなんです。真似してもできるものではなく、あの味は出せないし、似せていると言われたらむしろ負けるに決まっているわけで、「似せないでやろう」と。これはルパン【25】の時と同じスタンスですね。古川登志夫の「ルパン」でいい。古川登志夫の「父」でいい。というような感じで、今は演じています。

—— ありがとうございました。古川さんの今後の活動についてお伺いできればと思いますがいかがでしょうか?

古川:そうですね。これまでやりたい役はほとんどやらせていただいてきたという感じもしますし、そうした仕事は今後ももちろんオファーがある限りやり続けていくと思います。
日本のポップカルチャーコンテンツというのが、世界中で高い評価を得て、それをコンセプトにした海外コンベンションもたくさん行われています。それに僕たちもゲストとして呼ばれることがかなり頻繁にあるんです。スケジュール的になかなか行けないのですが、今年はどこかに行ってみたいなと思います。そうした異文化交流とか、文化の架け橋というのか、ソフトパワー外交的なという大げさな言い方をする方もいらっしゃいますが、そんなことの一翼になるような仕事がやれたらいいかな。というような思いもあります。
あとは青二塾の塾長みたいなことを担当させられておりますので、そちらでの後進の育成も、本業以外としては、やっていけたらなと思っております。

—— 短い時間でしたが、濃い話をありがとうございました。最後に、本日の感想なども含めご挨拶いただけますでしょうか

古川:1回目のときも言いましたけれども、こんな丁寧な取材をしていただいて本当に感謝です。「わが青春のメモリアル的な場所」なんて言いましたけれども、そういった練馬という地域に根ざしたアニメ文化の開花も嬉しいですね。イベントなどでこちらの関係で参加させていただけたらと願っております。
聞いてくださった皆さん、そしてこのコンテンツの関係者の皆さん、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

本テキストは音声版のダイジェストです。
是非音声版でお楽しみください。

プロフィール

古川登志夫(ふるかわ としお)
声優。練馬区内の高校・大学に通う。初主演作『マグネロボ ガ・キーン』を始め、『北斗の拳』『ドラゴンボール』など東映アニメーション作品(旧・東映動画)に多数出演するほか、『うる星やつら』『機動警察パトレイバー』に主演し、幅広い役柄を演じる。
最近出演作は、現在NETFLIXで大好評配信中の『悪魔くん』、大ヒット公開中の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ほか。

ダイジェストテキストに登場する作品名・人物名等の解説

【1】都立第四商業高等学校
東京都練馬区貫井に所在する、東京都立の商業高等学校。愛称は「四商」。1940年に創立された。2018年に情報処理科と商業科が発展的統合され、ビジネス科が設置されている。部活動も盛んで、演劇部からは声優の関根信昭さん、富田耕生さん、古川登志夫さんを輩出している。
【2】日本大学芸術学部
通称「日藝」。練馬区江古田にキャンパスがある。写真、映画、美術、音楽、文芸、演劇、放送、デザインの8学科があり、映画や放送、芸能、写真、マスコミなど、数多くの人材を輩出している。
1989年から2019年まで埼玉県所沢市に所沢キャンパスがあったが、現在は全学年が江古田キャンパスにて修学している。
【3】殺陣同志会
日本大学芸術学部文化部連盟の公認サークル。1958年に創設された。殺陣・立ち廻りの稽古や、公演を行っている。
【4】中田浩二(なかた こうじ)さん
俳優、声優、ナレーター。高校時代に入部した演劇部が、演劇コンクールでブロック優勝したことをきっかけに芝居の道を志す。大学卒業後に劇団青年座を経て、自身が主宰する「劇団櫂」を1976年に創立。1982年には舞台「黒念仏殺人事件」で文化庁芸術祭優秀賞を受賞している。俳優として多数の作品に出演しながら、海外の映画やドラマ、アニメーション作品で声優としても活躍。代表作に、『キャプテン・スカーレット』(68)、『忍風カムイ外伝』(69)、『エースをねらえ!』(73-74)など。
【5】『PLUTO/プルートゥ』
2023年10月26日よりNetflixにて配信を開始した、全8話のアニメーション。制作はスタジオM2。古川さんは主要人物のひとり・お茶の水博士を演じる。
原作は、手塚治虫の漫画『鉄腕アトム』の「地上最大のロボット」編を原案とした、浦沢直樹の漫画で、ドイツの刑事ロボット・ゲジヒトの視点で物語が描かれる。
原作:『PLUTO』浦沢直樹×手塚治虫/プロデュース:長崎尚志/監修:手塚眞/協力:手塚プロダクション/監督:河口俊夫/脚本:山下平祐、稲本達郎/出演:藤真秀、日笠陽子、鈴木みのり、関俊彦、古川登志夫 ほか
【6】手塚治虫(てづか おさむ)さん
漫画家、アニメーション制作者。代表作に『新寶島』『鉄腕アトム』『リボンの騎士』『火の鳥』『ブラック・ジャック』など。1961年に「手塚治虫プロダクション動画部」(1962年に「虫プロダクション」に改称)を設立し、実験アニメ『ある街角の物語』を発表。1963年には日本初の30分枠連続TVアニメ『鉄腕アトム』を制作し大ヒット、TVアニメブームの先駆けとなった。『どろろ』『ブラック・ジャック』『陽だまりの樹』などを始め、多くの作品が実写・アニメを問わず映像化されてきた。1989年2月9日逝去。
逝去から30年以上経ちながら、『ばるぼら』『火の鳥』など氏の作品を原作とした映像作品が近年も数多く生み出されている。
※当サイトのアニメーションコンテンツ「練馬アニメーションサイト」内の「練馬にいた!アニメの巨人たち」第21回第22回第23回と、「練馬のアニメスタジオの遺伝子 虫プロダクション編」では、手塚治虫氏についても詳しく紹介しています
【7】『鉄腕アトム』
手塚治虫によるSF漫画。1952~68年に、全65話が連載された。アトムは天馬博士が交通事故で死亡した息子のかわりとしてつくったロボット。お茶の水博士に引き取られ、人間のように心を持ったロボットへと成長していく。国内外で高く評価されている手塚治虫の代表作の1本で、1981年には関連書籍(単行本、絵本、文庫本など)の発行部数が累計1億部を突破している。1963年には虫プロダクションによりアニメ化され1966年まで全193話が放送された。本作は日本初の30分枠連続TVアニメでもある。1980年には第2作、2003年には第3作が制作されたほか、『PLUTO』(03-09)など数々の関連作品も制作されている。
【8】浦沢直樹(うらさわ なおき)さん
漫画家。幼少期に『鉄腕アトム』と『ジャングル大帝』に出会い、漫画を描くようになる。1983年の『BETA!!』でプロデビュー。『パイナップルARMY』(85-88)、『YAWARA!』(86-93)、『MASTERキートン』(88-94)、『Happy!』(93-99)を2誌掛け持ちで連載、いずれも大ヒットとなる。『MONSTER』(94-01)と『PLUTO』(03-09)で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している(2度の受賞は浦沢氏のみ)。また、2014年からはNHK Eテレにて、浦沢氏がプレゼンターを務める、漫画家の作品制作に密着したドキュメンタリー番組『浦沢直樹の漫勉』も放送されている。現在は『連続漫画小説 あさドラ!』を連載中。
【9】丸山正雄(まるやま まさお)さん
プロデューサー。日本のアニメ業界の黎明期から活躍している。1965年に虫プロダクションに入社。1970年にはTVアニメ『あしたのジョー』を世に送り出した。1972年にマッドハウスを設立。数々のTVアニメやOVAを手がけた。劇場映画では、今敏監督の全作品『PERFECT BLUE』(97)、『千年女優』(02)、『東京ゴッドファーザーズ』(03)、『パプリカ』(06)を企画・プロデュース。2006年には細田守監督の『時をかける少女』をプロデュースし、次作『サマーウォーズ』(09)も担当する。片渕須直監督作品『マイマイ新子と千年の魔法』(09)、『この世界の片隅に』(16)にも企画として立ち上げから携わった。現在はMAPPA代表取締役会長、スタジオM2代表取締役社長を務め、『鬼平』(17)、『薄墨桜 -GARO-』(18)、『PLUTO』(23)などを手掛けている。
【10】勝田久(かつた ひさし)さん
声優・俳優。1948年のNHKラジオドラマ『水滸伝』で声優デビュー後、ラジオドラマや海外作品の吹替えなどで活躍。1963年スタートのTVアニメ『鉄腕アトム』からはアニメにも進出。この時担当したお茶の水博士は当たり役となり、以後ほぼすべての『鉄腕アトム』関連作品で、同役を演じた。後進の育成にも熱心で、自ら声優教室を主宰。2015年まで多数の声優を輩出した。2020年2月、92歳で逝去。
【11】三間雅文(みま まさふみ)さん
音響監督。学生時代にラジオドラマの制作に興味を持ち、音響制作会社マジックカプセルに入社。1988年にOVA『マドンナ 炎のティーチャー』(88)で音響監督としてデビューする。フリーを経て1997年にテクノサウンドに入社。2004年からは同社の代表を務めている。代表作に『ポケットモンスター』シリーズ(97-放送中)『頭文字D』シリーズ(98~14)、『はじめの一歩』シリーズ(00-14)、『鬼平』(17)、『PLUTO』(23)など。また、今敏監督の全ての作品で、音響監督を務めている。
【12】『機動警察パトレイバー』
1988年にOVAと漫画がスタートし、その後も劇場版、TVシリーズ、ノベライズ、ゲーム、実写映像化など、様々な媒体で展開するメディアミックス作品。30周年を超えた現在も、劇場版『機動警察パトレイバー the Movie』(89)や『機動警察パトレイバー2 the Movie』の再上映や、新プロジェクト『機動警察パトレイバーEZY』(公開時期未定)の制作など、新たな展開が続いている。
【13】ゆうきまさみさん
漫画家。練馬区を拠点に活動している。1980年に月刊OUTに掲載された『機動戦士ガンダム』のパロディ作品「ざ・ライバル」で漫画家デビュー。1984年に週刊少年サンデーの増刊号に読み切り作品が掲載されたのを機に、小学館の少年誌、青年誌に活躍の場を移す。代表作に『究極超人あ〜る』(85-87)、『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』(94-00)、『鉄腕バーディー』(03-12 ※「EVOLUTION」も含む)、『白暮のクロニクル』(13-17)、『新九郎、奔る!』(18-連載中)。
『機動警察パトレイバー』の原案者でもあり、原作者集団「ヘッドギア」のメンバー。キャラクター原案や漫画版(88-94)を担当している。
【14】ヘッドギア
『機動警察パトレイバー』のアニメ企画立ち上げの為に集まった、5人のクリエイター(ゆうきまさみ[原案・漫画]、出渕裕[メカニックデザイン]、高田明美[キャラクターデザイン]、伊藤和典[脚本]、押井守[監督])によるグループ。各作品において「原作」としてクレジットされる。
【15】ガンダム
『機動戦士ガンダム』のこと。富野喜幸(とみの よしゆき※現・富野由悠季)監督のロボットアニメ。TVシリーズとして1979年から1980年まで全43話が放送された。戦争を舞台にした人間ドラマと、ロボットを兵器として扱う設定で「リアルロボットもの」の先駆けとなった。3部作の映画化の後にシリーズ化され、現在も新作が作り続けられている。古川さんは主要キャラクターのひとり、カイ・シデンを演じている。
【16】特車二課第2小隊
『機動警察パトレイバー』シリーズにおいて、主人公たちが所属する警視庁の架空の部署。正式名称は「警視庁警備部特科車両二課」(作品によっては“特殊”車両)。南雲しのぶ警部補が隊長を務める「第1小隊」と、後藤喜一警部補が隊長を務める「第2小隊」によって編成される。第2小隊には、泉野明、篠原遊馬、太田功、進士幹泰、山崎ひろみが所属、作品により、香貫花・クランシーもしくは、熊耳武緒が加わる。また、特車二課のレイバーは、榊清太郎班長、シバシゲオ主任が率いる整備班のたゆまぬ努力により運用されている。
【17】冨永みーな(とみなが みーな)さん
声優、女優、ナレーター。5歳で子役デビュー。その後、海外ドラマ『大草原の小さな家』(75-82)の3女・キャリーや、TVアニメ『あらいぐまラスカル』(77)のアリスを演じたことをきっかけに、声優としても活躍。代表作に、『銀河漂流バイファム』(83-84)、『魔法の妖精ペルシャ』(84-85)、『究極超人あ〜る』(91)など。また、『サザエさん』(69-放送中)では98年よりカツオ(3代目)、『それいけ!アンパンマン』(88-放送中)では2018年よりドキンちゃん(2代目)を担当している。
『機動警察パトレイバー』では、主人公・泉野明を演じた。また、実写版『THE NEXT GENERATION パトレイバー』第5話「大怪獣現わる 前編」にはラジオDJとして、古川さんと一緒に出演している。
【18】伊藤和典(いとう かずのり)さん
脚本家。1979年にTVアニメ『サイボーグ009』の制作進行としてキャリアをスタート。TVアニメ『うる星やつら』(81-86)で脚本家としてデビューする。以後、アニメ、実写など多数の作品で脚本を手掛けている。代表作に、アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』(83-84/原案、シリーズ構成 兼)、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95)、実写『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95)、『空母いぶき』(19/長谷川康夫と共同脚本)など。
『機動警察パトレイバー』では原作者集団「ヘッドギア」のメンバーとして、脚本を担当。TVシリーズ・新OVAでは、シリーズ構成も務めた。新プロジェクト『機動警察パトレイバー EZY』(公開時期未定)でも脚本としてクレジットされている。
【19】本編の映画
劇場版第1作『機動警察パトレイバー the Movie』及び、第2作『機動警察パトレイバー2 the Movie』のこと。両作品とも、監督は押井守さん、脚本は伊藤和典さんが担当している。
『機動警察パトレイバー the Movie』
出演:古川登志夫、冨永みーな、大林隆之介(現・大林隆介)、榊原良子 ほか
『機動警察パトレイバー2 the Movie』
出演:大林隆之介(現・大林隆介)、榊原良子、冨永みーな、古川登志夫、竹中直人、根津甚八 ほか
【20】『うる星やつら』
漫画家・高橋留美子の同名人気漫画を原作にしたTVアニメ。1981年~86年までの4年半にわたり全195回(全218話※放送開始時は15分2話、3クール目より30分1話)が放送された。劇場版6作品やOVAなども制作されている。
世にもまれな凶相の持ち主・諸星あたるは、地球侵略を仕掛けてきた宇宙人の鬼族との地球の命運を賭けた〈鬼ごっこ〉の地球代表に選ばれる。鬼族代表の美少女・ラムとの激闘の末、勝利をおさめるものの、ちょっとした行き違いからラムに愛されるようになり・・・。友引町、地球、宇宙や異次元を巻き込むドタバタラブコメディ。主人公・諸星あたるを古川登志夫さん、ラムを平野文が演じている。
2022年には小学館の創業100周年を記念して、完全新作として再アニメ化。2024年3月現在、第2期を放送中。古川さんと平野さんは、あたるの父とラムの母をそれぞれ演じている。
《1981年版》
原作:高橋留美子/チーフディレクター:押井守(第1~106回)、やまざきかずお(第107回以降)/キャラクターデザイン:高田明美/出演:古川登志夫、平野文、神谷明、嶋津冴子、鷲尾真知子、永井一郎 ほか
《2022年版》
原作:高橋留美子/監督:髙橋秀弥・木村泰大/キャラクターデザイン・総作画監督:浅野直之/出演:神谷浩史、上坂すみれ、宮野真守、内田真礼、沢城みゆき、高木渉 ほか
【21】高橋留美子(たかはし るみこ)さん
漫画史に残るヒット作を生み出し続けている漫画家。練馬区で30年以上も活動している。
大学在学中の1978年に「勝手なやつら」で第2回新人コミック大賞の佳作に入賞。同年、週刊少年サンデーに「うる星やつら」の連載を開始。1980年には青年誌ビックコミックスピリッツで「めぞん一刻」の連載もスタート。少年誌&青年誌の同時連載は、1987年まで続く大ヒットとなった。その後も「らんま1/2」(87-96)「犬夜叉」(96-08)「境界のRINNE」(09-18)「MAO」(19~)などの長期連載作品や、「人魚シリーズ」(84~)「高橋留美子劇場」(87~)などのシリーズ作品を発表。いずれも大ヒット作となり、その作品の多くが映像化されている。 2018年に米国アイズナー賞「コミックの殿堂」を受賞。2019年に第46回仏国アングレーム国際漫画フェスティバルでグランプリを受賞。2021年には米国ハーベイ賞にて殿堂入りを果たした。
※当サイトのアニメーションコンテンツ「練馬アニメーションサイト」内「アニメニュース」の特集記事「練馬のアニメの新名所『大泉アニメゲート』オープン! アニメのまちの玄関口で等身大モニュメントたちがお出迎え!」では、記念セレモニーのレポートや、高橋留美子先生のコメントなどを掲載しています
【22】押井守(おしい まもる)監督
映画監督、演出家、脚本家、小説家。1977年に竜の子プロダクションに入社しキャリアをスタート。スタジオぴえろに移籍後、チーフディレクターを務めたTVアニメ『うる星やつら』(81-86)が大ヒットし、注目を集める。劇場版第2作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)を監督した後、フリーになり、OVA『天使のたまご』(85)を制作。1987年には『紅い眼鏡』で実写映画にも進出する。1988年にスタートした『機動警察パトレイバー』初期OVA(Vol.1-6まで)には、原作者集団「ヘッドギア」の1人として参加。OVAの大ヒットを受け、劇場版『機動警察パトレイバー the Movie』(89)、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)も監督した。1995年に公開されたアニメーション映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』 は世界各国で高い評価を得ており、多くのクリエイターに影響を与えた。また、『機動警察パトレイバー』実写版プロジェクト『THE NEXT GENERATION パトレイバー 』(14-15)では、総監督・監督・脚本を務めた。
【23】『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』
1984年に公開された、『うる星やつら』(1981年版)の劇場版第2作。文化祭前日の友引高校を舞台に、同じ日が繰り返されるという異変に抗うあたる達の姿を描く、押井守監督の出世作。
原作:高橋留美子/監督・脚本:押井守/出演:古川登志夫、平野文、鷲尾真知子、藤岡琢也 ほか
【24】緒方賢一(おがた けんいち)さん
声優、俳優、ナレーター。役者を目指して上京し、児童劇団や新劇などの舞台に出演。洋画の吹替えをきっかけに、声優としても活動するようになる。70年代には様々な東映動画(現・東映アニメーション)作品で活躍した。声優・俳優活動の他に、声優学校の講師として後進の育成にも努めている。 代表作品に、『宇宙戦艦ヤマト』(74-75)、『大空魔竜ガイキング』(76-77)、『らんま1/2』(89-92)、『魔法陣グルグル』(94-95)、『名探偵コナン』(96-放送中)など。1981年版『うる星やつら』では、あたるの父を演じた。
※当サイトのアニメーションコンテンツ「練馬アニメーションサイト」内の「練馬ほっとキャスト」第7回第8回では、緒方賢一さんにインタビューしています
【25】ルパン
『ルパン三世 風魔一族の陰謀』のこと。1987年に発表されたOVAで、全国の劇場で小規模な先行上映も行われた。『ルパン三世 PART2』(77-80)からのメインキャストが一新されたことが話題になった。古川さんはルパン三世を演じている。
原作:モンキー・パンチ/監修:大塚康生/脚本:内藤誠/出演:古川登志夫、銀河万丈、塩沢兼人、小山茉美、加藤精三 ほか
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