練馬にゆかりの映像人の皆様にお話を伺い、練馬と映像文化の関わりを紹介する「ねりま映像人インタビュー」のダイジェストテキストです。
今回と次回のゲストは、俳優の森田順平さん。
森田さんは練馬区江古田にある日本大学芸術学部演劇学科に進学。在学中に文学座研究所に入所し、1977年に初舞台、そして大河ドラマ『花神』沖田総司役でTVドラマデビュー。
1979年にスタートした『3年B組金八先生』では、数学教師・乾友彦役で約30年間出演されました。また、声優としても活躍されており、アニメ『クレヨンしんちゃん』の園長先生役や、スーパー戦隊シリーズ『轟轟戦隊ボウケンジャー』のリュウオーン役、海外作品ではヒュー・グラントや マシュー・マコノヒーなどの吹き替えを担当されています。
現在、練馬区に在住されている森田さんに、日大芸術学部時代や練馬区のお話を中心にお伺いします。
—— 日藝【1】には、どういった経緯で進学されたのでしょうか?
森田:僕は北九州出身なんですが、高校のときから演劇部をやっていて、役者になることしか考えてなかったんです。卒業しないでも大学に行かなくてもいいから、芝居の世界に行きたいなと。だけど親から「大学には行ってくれ」と言われて、それでいろいろ資料を調べていたら演劇がある大学がいくつかあって、その中で日藝が一番目に付いたんです。演劇学科があって、しかもその中に演技コースがちゃんとある。 これはここだけだなと思って、第1志望に決めたのがきっかけですね。
—— 入学されて、いかがでした?
森田:本当に期待通りでした。とにかく実技だらけで、1年のときはその実技の授業が楽しくて、とても有意義でした。仲間もみんな志望しているものが同じですから話も合うし、仲良しだし。僕は今70歳なんですけど、この間、同期の演技コースの仲間と古希の会をやりました。
あと、先輩も後輩も含めて、どこの現場に行っても、絶対日藝の出身者がいる。そういうのもありがたいですね。
—— 印象に残っている授業はありますか?
森田:もうほとんど全部なんですが、面白かったのは洋舞コースですね。宮操子先生【2】という元気なおばあちゃん先生だったんですが、ダンスのカウントは8拍なのに、それをわざと6拍で歩いたりとか、いわゆる完全なダンスではなく、肉体の動きを上手くリズムに合わせて動くとか、そういう授業がすごく楽しかったのを覚えています。
—— 日藝での生活で、授業とは別に覚えてらっしゃることはありますか?
森田:芸術祭ですね。 僕は芸術祭の実行委員をずっとやらせてもらって、3年のときには実行委員長までやりました。いろんなことを企画してやるのが楽しかったです。そして、芸術祭で演劇学科は神輿を出すんですよ。正門から駅の方まで、江古田の街を神輿を担いで練り歩くんですが、声を潰すぐらい頑張ったのも楽しかったですね。芸術祭がやっぱり一番思い出には残っています。
—— 練馬区在住ということですが、長く住んでいる理由はどんなことでしょうか?
森田:住み良いっていうのがまず一つですね。とにかく緑が多いですよね。近所には、野生のタヌキもいますし、ウグイスも鳴くし。
—— 練馬区の中で、お気に入りの場所はありますか?
森田:それは石神井公園【3】ですね。ここはどこをどう歩いてもまだ歩ききれてないぐらいいろいろな場所があって、散策するだけでも楽しいです。これはぜひぜひ他の区の方にもいらしていただければと思うぐらい素晴らしい場所だと思います。
—— 区内では、朗読教室をずっと続けているそうですね。
森田:教室の方はおおっぴらではないのですが、知り合いの人に頼まれて、仲間内でちょっとやってる会みたいなものなんです。
朗読会は、頼まれたら出かけていて、いろんなものを読んでいます。貫井図書館でもやりましたし、この間は児童の施設でもやりました。楽しくやらせてもらっています。
関町北小学校では、4年生5年生を対象にした朗読教室を年に1回、毎年やらせてもらってます。先々代の校長先生が始められて、もう10年以上になります。
ゲームを兼ねた声の出し方から始めるんですが、みんな大喜びでやってくれるんです。こっちがちょっとヒントを与えると、小学生は迷わずにスっとそこへ行ってくれる。修正能力がすごくて、良くなるんですよ。これが楽しくてしょうがないですね。
—— 前半はここまでになります。一言いただけますでしょうか
森田:先ほど石神井公園の話をしましたが、練馬区ではあともう一つ、東映の撮影所【4】。これも仕事柄懐かしい場所でもあるので、また次回ちょっと話せればと思います。よろしくお願いします。
ありがとうございました。次回も引き続き、森田順平さんにお話いただきます。どうぞお楽しみに
明日の勇気につながる1作森田順平さんのおススメ!
『サウンド・オブ・ミュージック』
(1965年/アメリカ/監督:ロバート・ワイズ/出演:ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー、エリノア・パーカー、リチャード・ヘイドン、ペギー・ウッド ほか)
世界的に大ヒットした、ミュージカル大作。修道女見習い・マリアは、歌うことが大好きなお転婆娘。見かねた修道院長は、マリアをオーストリア海軍の英雄・トラップ大佐の子どもたちの家庭教師として送り出す。紆余曲折を経て、トラップ一家と打ち解け幸せな日々を過ごしていたのだが、ナチスドイツによるオーストリア併合に伴い、不穏な空気が流れ始め…。
森田:小学校5年生のときに初めて日本で上映されてもう10回以上見ていますが、未だに大好きな作品です。
ジュリー・アンドリュースが大好きで、3オクターブフルに出るという歌のうまさが忘れられないですね。全編好きですけど、最後国境を越えて、「全ての山を登れ」というあの歌をバックに、希望に満ちた終わり方をするのがすごく嬉しくて。勇気をもらえる映画だなと思います。