—— 1998年の『デビルマンレディー』【1】で初めてアニメ作品に参加されました。それまで実写の助監督、美術スタッフ、脚本を務められていましたが、アニメの脚本を書くにあたり、実写との違いを感じられましたか?
長谷川:『デビルマンレディー』には、『ウルトラマンティガ』【2】や『ウルトラマンガイア』【3】でお世話になった小中千昭さん【4】が呼んでくれたんです。
当時の実写はCGも出始めた頃で、できることが限られていましたから、「アニメだったら書いたことがなんでもできるのかな?」と思ってすごくワクワクしたんですよ。いざ始めると意外とそうでもなく、いろんな場面を書くと、設定画を描く時間もお金もかかるので、やはり制限があって。「いいプロット書けたな」と思って出したら、「できるわけねえだろっ!」と怒られました(笑)。
今ならCGも使えるので、あのプロットも通ったかもしれないですけど、当時はまだ手描きセルの時代でしたからね。そういうアニメの限界も知りました。でも、『デビルマンレディー』は割と怪奇性の強い作品だったので、「ウルトラ」ではできないところまで踏み込んだ描写を書けたのは良かったですね。
その翌年の『THEビッグオー』【5】も千昭さんがメインライターで、一緒に書かせてもらいました。『ASTRO BOY 鉄腕アトム』【6】は小中和哉さん【7】が呼んでくれたのかな。だからアニメもウルトラチームの縁がきっかけですね。
—— そして、2009年の『仮面ライダーW』【8】から、仮面ライダーシリーズ【9】に参加されました。
長谷川:脚本家の隅沢克之さん【10】がすごく大きく関わっているんです。『ガイア』の後番組の『ゾイド -ZOIDS-』【11】というアニメ作品に参加したのですが、そのシリーズ構成を務められていたのが隅沢さんで、脚本チームに入って仲良くさせていただきました。その縁で『ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU』【12】にも声を掛けていただき、そこで三条陸さん【13】と出会って、『ゲゲゲの鬼太郎』(第5期)【14】に繋がるんです。鬼太郎5期の放送が終わった頃に三条さんに「お疲れ様でした」と連絡を入れたら、「次、ライダーやるんだけど、やりませんか?」と声をかけてもらって。それで初めて仮面ライダーに参加することになったんです。
でも、平成ライダー【15】はすごい人気だったので、「あそこに参加できるのか!」という嬉しさと、「大丈夫かな?」と緊張しながらも、プロットをいくつか書いて送りました。そのうちの1つが採用されて、それからは三条さんと二人三脚、2人で1人の仮面ライダーみたいな感じで書いていきました。
—— ご自身が書かれた「仮面ライダー」が実際の映像になって、どんな感慨をお持ちになりましたか?
長谷川:最初に感動したのが、脚本で「変身」と書いた時ですね。
完成品もすごくて。円谷作品とは違って等身大ということもあるし、アクションがメインだったり、撮り方や監督の感覚もちょっと違ってすごく新鮮で感動しました。
『ティガ』と『W』という、ちょうど両シリーズの節目のようなところに参加できたのは、すごくラッキーだったなと思います。
—— その後、『フォーゼ』【16】、『ドライブ』【17】、『ゴースト』【18】、『セイバー』【19】、2023年の『ガッチャード』【20】ではメインライターという形で参加されています。
長谷川:塚田プロデューサー【21】と高橋プロデューサー【22】とのご縁が大きかったですね。
高橋さんが『セイバー』のプロデューサーの時にAPだった湊君【23】が、プロデューサーに昇格して初めての作品が『ガッチャード』だったんです。
—— 『ガッチャード』は、どんな仮面ライダーにしたいと考えられたのでしょうか?
長谷川:湊君から「次は僕がメインPでやるので、長谷川さんに参加してほしい」とお声がけしてもらっていたのですが、それから3~4か月後に電話がかかってきて、「1・2話書いてください!」と言われて。準備が進んでいる頃で時間もなく、東映が用意してくれた雛形をベースに、こちらからも宝太郎とりんねの関係とか、三姉妹のアイデアを出したりして、最初は突貫だったんですよ。でも、「カードは何話で何を出す」というスケジュールは決まっているので、それに合わせて話を作りました。プロレスの話を書いた時は、僕自身がプロレスを知らなかったので勉強のために『タイガーマスク』のアニメ最新版(『タイガーマスクW』【24】)をあわてて見たりとか、最初はバタバタして落ち着かなかったですね(笑)。
—— 全話を1人で書かれた『SSSS.GRIDMAN』【25】、『SSSS.DYNAZENON』【26】、そして『グリッドマン ユニバース』【27】ですが、作品に参加することになった経緯をお聞かせいただけますか?
長谷川:渋谷浩康プロデューサー【28】が推薦してくれたのかな?雨宮哲監督【29】からも名前を出してもらったとも聞いているので、その辺がうまくカチッとハマって呼んでもらえたという印象を持っています。
—— アニメーションでありながら怪獣もの。様々なウルトラマンやアニメ作品に関わられた長谷川さんは適任だったと思いますが、この仕事についてどのようなお気持ちだったのでしょう?
長谷川:実写の『グリッドマン』【30】は、実をいうと見ていなかったんです。あの頃の(家庭用)コンピューターは出てきたばかりの頃で、作品では超理論のコンピューター解釈でやっているイメージでしたので、現在のコンピューター時代にどうやるのかな?そのマインドみたいなものを残してやればいいのかな?と考えながら最初の打ち合わせに行ったら、雨宮さんがもう『グリッドマン』が大好きで思い入れが強い人で。既にご自身の中で、ある程度やりたいことが組み上げられていたので、それを纏めていった感じですね。雨宮さんの中にあるイメージやこだわりを汲み取って、こちらからも意見を出しながらシナリオとしてまとめていく。これも映画に至るまで、二人三脚のような感じでした。
—— 「友達ってやっぱり大事だよね」という軸が、『グリッドマン ユニバース』に至るまでぶれていないように思います。
長谷川:ああいう関係っていうのは、いまいちわからない感覚の人も結構いるみたいですが、僕にとっては女の子と男の子の理想みたいな話です。なんでもないような会話をしながら、一緒に戦うような。『ガッチャード』も割とそういう感じでしたし、その前の『ウルトラマンギンガ』【31】の一作目もそうでした。
雨宮さんは『ギンガ』がすごく好きで、「長谷川さん、(ギンガは)『グリッドマン』をベースにしてますよね?」と言われて、『グリッドマン』は見ていないと伝えると、「だって、お巡りさんとか出てくるじゃないですか!」と。たまたまだったのですが、雨宮さんは「この人は『グリッドマン』をすごく理解している人だ!」と思ったらしくて、それで呼んでくれたという節もあったんですよ。全然見てなかったんですけどね(笑)。
—— 練馬区で特に印象に残っている場所や思い出はありますか?
長谷川:江古田ですね。江古田文化【32】という映画館によく行ってました。同級生が映写技師のバイトをしてたんですけど、リールを適当に掛けるもんだから、映像の順番が(笑)。
あと、よく飲みに行きましたね。江古田は飲食店が多くて、行きつけの居酒屋に限らず、美味しいスパゲッティ屋さんとか名物なお店がいっぱいあって、食い倒れの街じゃないかっていうぐらいでした。4年間いましたが、江古田は好きでしたね。
—— 今後の野望のようなものがあれば、ぜひお聞かせください
長谷川:まさに今、生成AIで作品を作っているんですよ。自分でシナリオを作って、キャラクターも考えて。だから自己完結。1人円谷プロみたいな感じで。
今度9月に切通理作さんがやってるネットカフェで2日間上映会をやるのでぜひ見に来てほしいですね。ゲストで、小中監督、金子監督と、元角川の副社長の井上伸一郎さんが来てくれるんですよ。
作品はYouTubeの「ハセガワ ハヤテ リク Film」でも見られます。
最新作の『ムジガネ』【33】は、巨大ロボットと怪獣が戦う話です。機龍【34】が好きだったので、「女性パイロットが巨大ロボットに乗って戦う」のを実写で作るのが、本当に野望です。
X(@dinahasegawa)もやっているので、そこのURLからも飛べます。ぜひ皆さんに見ていただきたいですね。
これまでのいろいろな作品を見てくださった人から、「子供の頃に見てたよ」と言われることが本当に増えてきました。勇気を与えるつもりで書いていたのが、逆にそういう声に何度も勇気をもらいました。
イベントとかで生で声を聞くと本当に嬉しくて、「こうやって光がつながっているんだな」というのを実感できています。
人との人のつながり、プロ同士だったりお客さんも含めて、いろんなつながりを得られる仕事ができたことは、本当に人生にとってラッキーだったし、幸せでありがたいことだったなと思っています。
皆さんも、自分なりの夢を見つけて、諦めずに頑張ってください。
—— ありがとうございました。